腐乱
スパイシーシフォンケーキを作ろうか。そう思ってシナモンを用意した。腐っていた。ナツメグも腐っていた。オールスパイスは10年も前から腐っていた。今まで見て見ぬ振りをしてきたが、もう限界だろう。とりあえずそれらを用いてケーキを作ってみた。
食べるのが怖くて1週間放っておいたらケーキ自体が腐ってしまった。ホイップクリームを作ろうと思ったら生クリームがチーズ状になっていた。
腐ったケーキを食べていたらノドが詰まったので牛乳を飲もうと思ったが、それも腐っていた。
「期限の切れた牛乳は捨てないで、ココアを入れて沸かせば大丈夫」
お母さん。みのもんたの口車に乗せられて購入したココアは、もうとっくに腐っているのです。
腐ったケーキと腐ったミルクココアを口にしている僕は、朝の連ドラを昼に見る生活を続けている内に腐ってきた。父は最近、面白いように休みが増えて給料が減って、昼間から酒を飲んでは腐ってフテ寝している。母はブクブクと太って腐乱した水死体のよう。台所に干してある姉のブラジャーは、蝿がビッシリたかって黒いセクシーランジェリーのよう。
1ヵ月振りにオガクズを掘り返したらカブトムシの幼虫が溶けていた。ピアスの穴がジュクジュクしている。羊と交尾したら1週間後に陰茎がもげた。天井が腐って落ちてきそうだ。加湿器を掃除していたら、中からヌルヌルした黒い塊が出てきて僕に挨拶をした。








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